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ある生徒の1つの観点について、到達度(%)から観点別評価"ABC"を表示させたい場合にはどうしますか?

 

たとえば、次のような基準を設定するとします。

'--------------------
0%以上30%未満であれば"C"
30%以上80%未満であれば"B"
80%以上であれば"A"
'--------------------

『B-3-1』解説ページでは、IF関数を使って処理をしました。

 

A,B,Cの3通りの場合分けは、IF関数の中にIF関数を入れました。

 

 

このことをIF関数の「ネスト(入れ子)」と言います。

 

()の数が多くなりややこしくなったり、条件と表示があちこちに分かれたりするので、できれば数式のネストの使用は控えたいです。


そこで、今回は数式のネストを使わずに3通りの場合分けを処理する方法を解説します。

VLOOKUP関数を使う方法です。


  

 


▼VLOOKUP関数を使う方法


1-方針

評価基準をまとめたデータ範囲をつくります。

 

1-作業

新しいシートを作ってシート名を"データ"と変更します。

 

1-解説

別表を作るときは図のように、シートを分けるとよいです。

[成績一覧]シートで素点を入力、観点別評価を表示などを行います。

[データ]シートで基準を設定します。


2-方針

評価基準を設定します


2-作業[データ]シートにて

  1. 到達度(%),評価"ABC"見出しをつけます。
  2. "0","30","80" ↗ "C","B","A"のようにして、昇順(小さい順)に基準を入力します。

 

2-解説

VLOOKUP関数で場合分けをするときは、データ範囲の1列目を昇順(小さい順)にするとが望ましいです。

 

「昇順(小さい順)かどうか」はデータを扱う上では重要な考え方の一つです。

 

「0以上ならば"C"を表示」「30以上ならば"B"を表示」「80以上ならば"A"を表示」
をそれぞれ表しています。


3-方針

VLOOKUP関数を入力する

 

3-作業[成績一覧]シートにての評価"ABC"先頭セルにて

  1. "=vl"入力
  2. [Tab]キー
  3. 到達度(%)先頭セルをワンクリック
  4. [,](カンマ)
  5. [データ]シート{データ範囲}をドラッグで選択
  6. [F4]絶対参照
  7. [,](カンマ)
  8. "2"を入力
  9. [,](カンマ)
  10. "TRUE"を選択する
  11. Enterキー


3-結果

出力範囲の先頭セルに評価"C"が表示される

※以上1.~11.の手順は10回くらい反復練習することをおすすめします。解説を見ずに流れるように入力できるようになれば、「人並みにVLOOKUP関数を使える」と言っていいと思います。

 

3-解説

生徒1の到達度は10%です。0以上30未満なので評価は"C"となります。

VLOOKUP関数は第4引数を"TRUE"にすると、柔軟に検索することになります。

繰り返しになりますが、VLOOKUP関数で第4引数に"TRUE"を設定するときに必ず守らなければならないことがあります。

それは『データ範囲の1列目を昇順(小さい順)に並べる』ことです。

今回のケースは"0","30","80"の順が昇順です。


4-方針

先頭セルを最終行までコピーする

 

4-作業成績一覧]シートにて

最終行まで数式のコピーをする(お好みの方法で)

 

4-結果

生徒全員に対して、評価"ABC"が表示される。

 

4-解説

設定した基準通りに評価"ABC"がそれぞれ表示されています。

 

細かな点ですが、基準ぴったりのときの判定は注意します。

 

この場合、生徒3は到達度30%ちょうどですので、評価"C"ではなく"B"が表示されます。

 

以上です。

(まとめ)
  • 評価が3通り以上の場合分けは、VLOOKUP関数で処理するとよい
  • データ範囲は「別シート」「1列目を昇順(小さい順)」にして作成しておくとよい
  • 出力セル: = VLOOKUP(到達度(%),別シートデータ範囲,2,TRUE)

▼補足


1-補足「基準を変更する方法」
年度や学校によっては、基準が変わることがあります。

たとえば、"B"区切りを"35"に変更したい場合を補足します。

到達度(%)を1区切りで確かめてみましょう。

 

34%まで"C"、35%から"B"に変更できました。

このように、基準値を変更するときは[データ]シートの値を書き換えます。


2-補足「式は合っているが表示がおかしい」
第4引数を"TRUE"にして表示がおかしいときは、評価基準が降順(大きい順)になっていることが多いです。

入力した数式が正しいのに、表示にエラーが起きるときは、はじめにデータ範囲が昇順になっているかどうかを確認しましょう。


▼おわりに


観点別評価を表示させる処理の解説は以上です。

今回はVLOOKUP関数を使う方法を解説しました。

3通り以上の場合分けがほとんどなので、VLOOKUP関数を使う方法をおすすめします。


VLOOKUP関数さえ慣れていれば、作りやすい、式が見やすい、修正もしやすいの良いとこ尽くしです。

それぞれの関数で同じ処理をする数式の()内を比較してみます。

 

()内の文字列の長さは2倍以上になりました。

どちらの方法の方がより「安心・安全に使えるエクセル」にふさわしいでしょうか。

 

私はVLOOKUP関数だと思います。

 

ただ、そのためには、VLOOKUP関数を全員がしっかり理解する必要があります。

 

VLOOKUP関数は難しいとは思いますが、何度も繰り返し練習してみてください。

 

次ページからは、評定(54321)の表示の仕方について解説します。